コンクリート・ユートピア/地べた這うか許し乞うか

スリラー
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コンクリート・ユートピア

Concrete Utopia/監督:オム・テファ/2023年/韓国

マスコミ試写で鑑賞。公開は2024年1月5日です。

あらすじ:建物が丈夫。

ネタバレはありません。

未曾有の大災害により一瞬で廃墟と化した冬のソウル。唯一残ったファングンアパートには生存者が押し寄せ、傷害事件や放火が相次いだ。そこでファングンアパートの住人たちは住居者代表としてヨンタク(イ・ビョンホン)を選び、従うことにするのだが……。

展開がスピーディーで、さきに書いたあらすじの出来事はおおよそ20分で終わります。主人公となる夫婦について、災害前の幸せだった時間の描写とか、ないの。一瞬。一瞬で世界が終わる。潔いですね。

代表者として選ばれたヨンタクは、次第にアパートの中で支配者として君臨するようになり、それまでとは別の姿を見せ始めます。彼には大きな秘密があり、なんとしてもそれを隠し通さなければならないわけです。荒廃した世界で生き延びることと、得体のしれないヨンタクについてだんだんわかっていくことが実にうまく進み、飽きない作りになっているなと思います。イ・ビョンホンの、目が落ちくぼんだような、狂気に満ちた表情とかすごく良かった。非の打ち所がない映画かも……。

極限状態の中で人が狂っていくようすって、映画の中でなら、観ているのが楽しいものなんだなって思います。その時まではどうということのない日常を過ごしていた人たちが、のっぴきならない出来事をきっかけにしてモラルに欠ける行動をするというのは、けっして他人事ではなくて。逆に、自分だけが助かることを望まず、しんどいときに赤の他人にも優しく接することのできる人もいるわけで、その違いってどこから来るんだろうかとも思うわけです。

途中、住人たちが何かを食べているシーンがあり、ん? あれ、何だ?? となったんですが、それについてはラスト付近でほのめかされていて、いいね、説明しすぎないところ、いいね! ラストのセリフもすごく良かったです。おすすめです。

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