赦し/悲しみよりも怒りのほうがまだましだ

サスペンス
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赦し

December/監督:アンシュル・チョウハン/2022年/日本

マスコミ試写で鑑賞。日本在住のインド人監督ということで、これは邦画になるのかなあと思って友達に聞いたら「製作国で変わるんじゃない? 監督の国籍とか関係ないよきっと」って言われて、そっかー! なるほどね! って思いました。公開は2023年3月18日です。

あらすじ:娘が殺されます。

ネタバレはありません。

7年前、娘を当時17歳だった少女(松浦りょう)によって殺された元夫婦、尚玄MEGUMIMEGUMI藤森慎吾と再婚し、なんとか娘のことを思い出さないように生きてきた。そんなある日、彼らに裁判所から1通の手紙が届く。それは、松浦りょうに再審の機会が与えられたという知らせだった……。

法廷映画ですね、一応カテゴリーは「サスペンス」にしました。再審によって、尚玄は不利な立場に立たされていきます。7年間仕事をしていなかったのに、何不自由なく暮らせていたのは、賠償金があったからですよね?! とか言われて、観ているこちらまで怒りをおぼえます。
そしてこれは、どうかな……と思うところですが、裁判で尚玄MEGUMIが会ったあと、ふたりはあることをするんですよ、これじゃあまりにも藤森慎吾がかわいそうだよ。

松浦りょうの周囲の人間はめちゃくちゃに感じが悪く、これはもうわざとだねと思いました。監督が、わざと観客に、人を憎ませるように持っていっているというか。一方で、弁護士と面会するときの松浦りょうは、殺人を犯したように見えない、おとなしめな女性の雰囲気を漂わせています。目元が特徴的な女優さんですね。彼女は、自分が殺した少女の母であるところのMEGUMIと二人で話したい、と言い始め……。

ここから、ありとあらゆる出来事が、悪い方へ、悪い方へと転がっていくんです。かわいそうだと思った藤森慎吾は怒鳴り散らし、尚玄は裁判中に大声を出したうえに出ていってしまう。MEGUMIも決して冷静とは言えず、主な登場人物である男性2人よりはまだまし、という程度。

MEGUMI藤森慎吾に対して、「あなたは私の気持ちなんてわからないんだ」と頻繁に言います。どうやら藤森慎吾も過去に家族絡みでつらい思いをしたようですが、そこの詳細は語られません。あくまでも、被害者少女とその両親、そして加害者の少女の物語になっています。こういう映画はいろいろ風呂敷を広げるよりも、要らないと思われるところは削りに削ったほうが、観ている方にも強い印象を残すなあ、と思いました。泣いたり叫んだりといったつよい感情を見せることのない松浦りょうの独特な存在感が良かったですね。

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