シン・ウルトラマン/母「ちょっとシン・ウルトラマン観たいんだけど」

邦画
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シン・ウルトラマン

監督:樋口真嗣/2022年/日本

こちらの記事は、シン・ウルトラマン/母「ちょっとシン・ウルトラマン観たいんだけど」 | 映画感想 * FRAGILEを転載したものです。

TOHOシネマズ新宿 スクリーン7 H-15で鑑賞。

あらすじ:禍威獣がやってきた。

ネタバレしています。注意書きはありません。ほとんど内容には触れていません。

私はウルトラマンに興味がないため、公開直後からツイッターで人のネタバレ感想(ふせったー)を軽率に開けて色々な意見を目にしていた。賛否あるが、私のTLではどちらかというと否が多い印象だった。私には関係のない映画だと思っていた。

突然、母からメールが来た。「月末に東京へ行くから『シン・ウルトラマン』を一緒に観よう」という内容だった。母は私以上に映画が好きで、私以上に映画を観ている。田舎に住んでいるため映画館に足を運ぶことはほとんどない。そんな人が、ぜひ観たいと言う、ならば連れて行くのが人の情というものである。

母は『シン・ゴジラ』(2016年)が好きだ(私は一度トライしたが、蒲田くんが出てきたあたりで鑑賞をやめてしまっていた。ゴジラに興味がないからだ。仕方ないことだと思う)。母は誇張なしに30回以上『シン・ゴジラ』を観ている。セリフを覚えるほどに。今回、なぜ『シン・ウルトラマン』を観たいのか聞いたら、「辛口の批評をする友人が、『シン・ゴジラ』みたいなかんじで、大人の鑑賞にも耐えうるって言ってたから」という答えだった。

まずい、と思った。周囲の映画好き、誰に聞いても、「『シン・ゴジラ』を期待して『シン・ウルトラマン』を観るとがっかりすることになる」と言われたからだ。しかし、そんなことを母に言うわけにはいかない。久しぶりの映画館をとても楽しみにしているようすがメールから伝わってきた。まずい……。


前述の通り、私の母は田舎に住んでいる。記憶している限り、母と2人きりで映画館へ行った思い出はない。母が上京することもめったにない。なので、最初で最後なんだろうな、という気持ちがあった。もちろん、最後にならないほうがいいことはわかっている。

母と私は仲が悪いわけではないが、私が親不孝をしすぎていて、どうしても理解し合えない部分もある。それはどこの親子でも同じだと思う。とても近くて、とても遠い存在が、親だと思っている。私は今無職で、できることなら就職してから母に会いたかったが、無理だった。きっと私が無職であることをものすごく心配しているだろうと思う。申し訳ない……。

母は上京の前日、『シン・ウルトラマン』の予習として『シン・ゴジラ』を2回観ていた。本当に楽しんでいるようなので、Blu-rayを買ってあげることにした(母はWOWOWで放映したものを録画して、それを何度も観ているため)。「お土産が出来た」と、母は喜んでいた。

現在、2022年5月27日の19時すぎだ。母とは29日に会う。樋口真嗣監督、頼むぞ……という気持ちでいる。続きは映画を観てから書く。

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いろいろあって情緒がぐちゃぐちゃのまま今日を迎えた。久しぶりに会った母は元気そうだった。良かった。
私と母はすごく似ていて、それは外見にかぎらず内面もである。上映の待ち時間のあいだ、喫茶店で話している母を見て、ああ、私はこの人の娘だなあと思っていた。それは当たり前のことなのだが、外見から文体にいたるまで全部そっくりだ。

私は普段、一番うしろの通路に面した席を取るのだが、母が「前の方の真ん中で観たい」と言うのでそのとおりに席をとった。それはそれで良かった。観やすかったし。


私の感想は以上。これは観た人なら分かってくれる。私は『魔法少女まどか☆マギカ』が大好きなので……。


母と私の違うところは、私はアクションが好きで、母はそうでもないというところ。あと、母は、恋愛や親子関係などが添え物的に組み込まれている映画をあまり好きではないとわかった。
長澤まさみが巨大化したり、請求書の話をしたり、山本耕史が「割り勘で」と言ったりするところで、ちょいちょい母が笑っていた。長澤まさみに関しては、セクハラだと言われていたため不安だったが、母はとくに引っかからなかったようす。一番の懸念点だったので、ネガティブな反応ではなかったのはホッとした。

観終わった母はやや興奮気味に、カット割りやカメラアングルの話をしていた。
が、すぐ話題は『シン・ゴジラ』に変わった。ああ、母は本当に『シン・ゴジラ』が好きなんだなあと思った。Blu-rayをプレゼント出来てよかった。ささやかだが親孝行ができてよかった。


まさか『新世紀エヴァンゲリオン』まで観ているとは思わなかった。TVシリーズではないらしいが、どれを観たのかはわからない。上の会話は『桐島、部活やめるってよ』(2012年)での、神木隆之介橋本愛の会話にめっちゃ似てるなって思った。ともかく、庵野秀明監督、『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』(2021年)のときメチャクチャな感想書いてごめんなさい。

母は「とりあえず満足!」と言っていた。思うところはあるようだが。「いつも1人で映画を観ているから、観た直後に人と感想を言い合えて楽しい」というようなことも言っていた。私はたいへんホッとした。樋口真嗣監督、ありがとう。庵野秀明監督、ありがとう。ちなみに母は『シン・仮面ライダー』(2023年)についてはまったく食指が動かないらしい。今回、いいタイミングで『シン・ウルトラマン』が上映していてよかったと思った。ありがとう……ありがとう……。

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