蟻の王/愛だけが私たちを

人間ドラマ
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蟻の王

Il signore delle formiche/Lord of the Ants/監督:ジャンニ・アメリオ/2022年/イタリア

マスコミ試写で鑑賞。公開は2023年11月10日です。

あらすじ:同性愛を禁じられた。

ネタバレはありません。

1960年代、イタリア。詩人で劇作家であり、蟻の生態研究者のアルド・ブライバンティ(ルイジ・ロ・カーショ)は、教え子である青年、エットレ(レオナルド・マルテーゼ)と恋に落ちた。ローマで同棲を始めた彼らだったが、アルドは逮捕され、エットレは同性愛の矯正施設へ送られてしまい……。

エットレの年齢が見た目ではわからないのだが、アルドが教授であることから、おそらく大学生で成人しているのではないか、あるいはぎりぎり未成年かもしれないが、たぶん劇中でそのことに触れられなかったように思う(自分の記憶は当てにならない)。私個人は、成人している者どうしがお互いに納得しているのであれば、どのような関係を築いていたとしてもそれは罪にはならないのではと思っている。例えば、DVやモラルハラスメントだって「お互いが」その状態を良しとするなら、他人はそこへ介入できない。ただ、DVやモラルハラスメントは、「お互いが」納得しているなんてことはほとんどないのではないかな、と思う。

話は逸れるが、大学のときの友人にとても美しい女性がいた。女性はたびたび恋人を殴っていた。私は彼らふたりともと仲が良く、ある日、男性側から、殴られてしまうことについて相談を受けた。その時に私がどういうことを言ったのかは覚えていない。女性からは、「好きなのにどうしても殴ってしまってつらい」と聞いていた。そのころはまだDV(特に女性から男性に対して行われるDV)は「ないもの」として扱われていたように思う。結局そのふたりがどうなったかというと、性格の不一致で別れたのち、男性はアイドルオタクになり、女性はSMの女王様になった。彼らはマッチングが残念だったんだな、と思う。男性側がハードなMで、殴られることを望んでいたのなら、別れることにもならなかっただろうし、女性が愛情を加虐行為で表現する人ではなかったのなら、もしかしたら今もふたりは仲良く過ごしていたのかもしれないから。

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