あなたのおすすめ映画、観てレビューします!第3弾『ショック・ドゥ・フューチャー』

人間ドラマ
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ショック・ドゥ・フューチャー

Le choc du futur/監督:マーク・コリン/2019年/フランス

Amazon Prime Videoで鑑賞。年末に急に思いついた企画「あなたのおすすめ映画、観てレビューします!」です。配信(Amazon Prime Video、U-NEXT)にある映画の中で、「(私の)レビューを読んでみたいな……」とみなさんが思う映画をひろく募って、観て、感想を書くという内容です。
第3弾『ショック・ドゥ・フューチャー』は、有象(ユウゾウ)さん(@elephankt)からのリクエストです。初見です。書くところがないのでここに書きますが、主演はアレハンドロ・ホドロフスキーの孫です。私は『アデル、ブルーは熱い色』(2013年)を観ていないため、ホドロフスキーの孫が俳優であることを知りませんでした。

あらすじ:男性優位の音楽業界。

ネタバレしています。注意書きはありません。

最初のワンカットで「これは……おしゃれ!」って思いました。もう、ほんとに最初の最初の、カセットテープが散らばっているところね。踊りだす前の。私はちょっと70年代に憧れがありますね。インテリアとかもかわいいし。70年代日本もそうなんだけど、なんかオレンジ色多くないですか?


1970年代後半、パリ。若手ミュージシャンのアナ(アルマ・ホドロフスキー)は締切に追われ、なかなか思い通りに曲が出来ずにいました。そこへ、担当者のジャン=ミ(フィリップ・ルボ)がやってきて、「やっぱり女に頼むんじゃなかった。男なら遅れないし、電話に出る」などと言い出します。上に予告編を貼ってはいますが、貼っているだけで情報を全く入れていなかったため、なんなんだよこの男は……? とカチンときましたね。そんなこと言わなくてよくない?

また、機材トラブルが発生したときに修理に来てくれた男性が「(この機材は)女には買えない代物だ」と言い出しまして、おい、お前も非常に感じが悪いぞ! と、別に本気で怒ってはいませんが、こういう男尊女卑的な考えの男性を、今の時代の男性はどのような気持ちで見るのかな? とは思います。おすすめしてくださった有象さんは男性なので、そこのところ聞いてみたいですね。

アナは未来の音楽がどうなっていくのかをジャン=ミに語りますが、彼は全然音楽の素養がないようで、「何を言っているのかさっぱりわからん!」などと言います。私も音楽の歴史については不勉強でわからないですが、アナが語った未来の音楽って、レイヴみたいなことですよね? そうすると、アナの感性は10年早かったんだなって思います。ミュージシャンで「早すぎる人」ってたまにいますよね(私はSOFT BALLETが「早すぎる人たち」だったなって思っています。感覚的に思っているだけで、邦楽に詳しい人がどう思うかはわかんないです)。

ジャン=ミはかなり保守的な人だから、アナが言っていることをひとつも理解できないし、もっと言うと、アナが(自分より下の立場である)女だから、理解しようともしないんでしょうね。この映画は音楽業界の不公平さについての物語ですが、どこの業界もこの時代は同じようなことが起きていたのかもしれないなと思いました。

アナは歌手のクララ(クララ・ルチアーニ)と知り合い、試しにふたりで音楽を作ることに。アナが作った音楽をクララが気に入り、歌詞を書き、歌います。あっという間に意気投合した彼女らのようすを見るに、クララも男性優位の音楽業界で苦労しているのだろう、と容易に想像がつきます。「若くて顔の良い女は歌手をやってりゃいいんだよ」という業界っぽいので……。女のことを舐めているうえに、歌手のことも舐めていませんか? その価値観、大丈夫?

パーティーで自分が作った曲を流したアナは、業界の大物に感想を聞きます。が、その男性はまっさきに「これは君が作ったのか?」と聞くんですね。たぶんですけど、曲を作ったのがアナでなく男性だったら、その”大物”の評価も違ったんじゃないのかなって思うんです。だんだんわかってきました。

この映画は、自分らしく表現活動をしたい女性たちが、ただ性別が女であるというだけで不当に低い評価をされてきたという歴史についての作品ですね。飲み込みが遅くてすみません……。なお、監督が脚本と音楽を手掛けています。好みもあるとは思いますが、音楽は安定して高いクオリティのものだなって思いました。

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