ぼくは君たちを憎まないことにした/悲しみの乗り越え方

人間ドラマ
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ぼくは君たちを憎まないことにした

Vous n’aurez pas ma haine/監督:キリアン・リートホーフ/2022年/ドイツ・フランス・ベルギー合作

マスコミ試写で鑑賞。公開は2023年11月10日です。

あらすじ:妻を亡くした。

ネタバレはありません。

2015年。家族3人で幸せに暮らしていたアントワーヌ(ピエール・ドゥラドンシャン)は、パリ同時多発テロで妻を亡くしてしまう。妻が亡くなったとわかる瞬間の演出がよくて、大声を上げるわけでも泣き出すわけでもなく、アントワーヌは、ただ立ち尽くす。

夫婦の間にはまだ幼い子供がおり、母親を求める子のようすにアントワーヌはいらだちを見せる。何も分からない息子がそういった行動を取るのは仕方のないことだが、自身も深い悲しみに暮れているアントワーヌは、なかなか息子を受け入れることができない。

愛する人を失った経験のない私は、それがどれほどつらく、心にダメージを受けるのかがわかっていない。身近な人が亡くなり絶望しても、それでも自分は日々を生きていかなければならない苦しみ。いつ癒えるのかわからない傷。続いていく人生に、愛する人がいないこと。

アントワーヌは、Facebookに自分の気持ちをつづった。それがバズって、新聞に掲載される。テレビでも取り上げられ多くの反応を得るが、一方で親戚からは冷たい目で見られていた。「妻が亡くなったばかりなのに、なぜそんなふうに振る舞えるのか」といったところであろう。アントワーヌは人の目につかないところで、観ているこちらの胸が締め付けられるほどに、悲しみを表現する。映画の中で人が悲しんでいるようすを観るとどうしても泣いてしまう私は、自分の人生では未だ経験したことのない喪失感に襲われた。

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