ペトラ・フォン・カントの苦い涙/愛を乞うのは馬鹿げている

ラブロマンス
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ペトラ・フォン・カントの苦い涙

Die bitteren Tranen der Petra von Kant/監督:ライナー・ベルナー・ファスビンダー/1972年/西ドイツ

U-NEXTで鑑賞。信用できる人がおすすめしてくれたので観ました。初ファスビンダーです。

あらすじ:若い女を好きになる。

ネタバレしています。注意書きはありません。

ペトラ(マルギット・カルステン)は、友人が連れてきたカーリン(ハンナ・ジグラ)に惹かれます。ペトラはマルレーネ(イルム・ヘルマン)という助手を好き勝手に使いながら、カーリンと人生について語り合うのでした。ペトラとカーリンの会話を聞いていると、この人たちだいぶ価値観が違うな? と感じます。ほとんど正反対と言っても過言ではないかもしれません。価値観が違う相手を好きになることはきっとあるだろうし(私はないのでわからないのですが)、それでお互いを補い合ってうまくやっていくこともあるのでしょう(私はないのでわからないのですが)。

ふたりはすぐに同棲を始めます。どれほどの日数が経ったのかはわかりませんが、カーリンがだいぶ横柄になってきているため、数週間は経っているかと思いますね。ペトラが愛の言葉を口に出す一方で、カーリンは「あーはいはい、私も好きですよ」みたいな態度なんです。大丈夫? 怒られるよ? でも、ペトラはペトラで、カーリンに対して発する愛の言葉はすべて彼女の外見についてであり、彼女の内面には触れません。大丈夫? 怒られるよ?

この物語でもっとも重要なのはやはりマルレーネの存在ですね。言葉を発さず、ペトラにどれだけ冷たく当たられても嫌な顔ひとつしません。尽くすことを愛というのなら、マルレーネはペトラを深く愛しているのでしょう。時代錯誤的ではありますが、この映画は1972年製作なので、現代の価値観は通用しません。ペトラがカーリンにすがりついて、「あなたしかいない、私は孤独だ」と言うとき、マルレーネもその場に必ずいるはずです。彼女はいったいどんな気持ちでその様子を見ていたのでしょう。

舞台は1つの部屋のみで進行していきます。インテリアや登場人物たちの衣装が色彩豊かで、観ていて飽きませんね。私は70年代の映画をそんなにたくさん観てきているわけではないのですが、観た限りでは、ファッションがかわいい映画が多いなと思います。首元に赤いケシの花をつけているの、すごく良かったです。

恋愛というものは、洋の東西を問わず、また、年代も問わず、「物語」として扱われるものであるなと思いました。

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