恋空/たったひとりの永遠のひと

ラブロマンス
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恋空

監督:今井夏木/2007年/日本

U-NEXTで鑑賞。一世を風靡したケータイ小説の映画版です。なぜ突然、と思われるでしょうから、経緯をかんたんに説明します。

あらすじ:一世一代の恋。

ネタバレしています。注意書きはありません。

2024年6月7日(金)公開の『あんのこと』を鑑賞しようと思っています。ざっと内容を確認したところ、

香川杏、21歳。シャブ中でウリの常習犯。ホステスの母親と足の悪い祖母と、3人で暮らしている。子どもの頃から、酔った母親に殴られて育った。小4から不登校。初めて体を売ったのは12歳で、相手は母親の紹介だった。希望はおろか絶望すら知らず、ただ繰り返される毎日。そんな薄暗闇の世界が、ある出会いをきっかけに少しずつ変わり始める。

引用元:映画『あんのこと』公式サイト|2024年6月7日(金)全国公開

虐待! 売春! 違法薬物! ノンフィクション! これってとてもケータイ小説的なのでは? と思いつつ、そもそも「ケータイ小説」を読んだことがない私はWikipediaを読んでみました。

本田透は、リアル系ケータイ小説でしばしば題材として描かれる売春(援助交際)・レイプ・妊娠・薬物・不治の病(エイズや癌)・自殺・真実の愛の7つを「ケータイ小説七つの大罪」と呼んでいる。実際、ケータイ小説がヒットするきっかけとなった『Deep Love』では、これらの大罪全てが描かれている。「七つの大罪」について、ライターの速水健朗はこれら大罪の中に明らかにDV(デートDV)が漏れていると指摘し、援助交際・妊娠・薬物・不治の病よりもDVのほうがケータイ小説には頻繁に登場しており、例えば『恋空』や『赤い糸』の主人公と恋人の間の関係にデートDVの構造が見て取れると述べている。

引用元:ケータイ小説 – Wikipedia

面白い!

小池未樹はケータイ小説の条件に物語がポエム調の文章で始まることを挙げ、他の場面でもあるこの場合のポエムは詩人の詩とは違い、何かを語っているようで何も語っていない抽象的な文で、具体的な固有名詞ができるだけ削られたケータイ小説には相性が良く、その結果による「私の物語でない、と思わせる要素を極限まで除去した、安全な世界」の物語であるとの見方を示した。また嵯峨景子はヒロインの虚無感、孤独の様がどこか心地よく内面描写がないと否定的にみられているのとは違い、小池は深みがない意味で内面描写がないと言われるが精神が発達途上の子からするとその方が助かり、自分と近い印象を持つと肯定している。

引用元:ケータイ小説 – Wikipedia

面白い!

本当は、Yoshiの『Deep Love アユの物語』(2004年)が観たかったのですが、配信がないため『恋空』にしたのでした。『恋空』では、妊娠・流産・不治の病・真実の愛、が描かれているノンフィクション(のちに「事実を元にしたフィクション」と変更される)だそうです(これから観ます……完全にネタバレを踏みに行ってから映画を観るのは初めてかも知れません)。


冒頭で、主人公・美嘉(新垣結衣)のポエムが流れるんですね。もうね、これか! ですよ、これかあ! 

美嘉はある日、ノゾム(中村蒼)にPHSの番号を知られたことがきっかけで、金髪で少し怖い印象のヒロ(三浦春馬)と知り合います。美嘉がなくしたPHSをヒロが拾い、登録されていたアドレスを全部消し、ヒロの連絡先だけを登録し、図書館の本棚に置いてしまうという、かなり強引なやり方です。早くもデートDV的な展開に驚きました。普通に嫌だろそんなことする人……。しかし、その一件から二人は毎日電話するようになり、やがて学校内で対面することに。

展開が早く、始まって30分もしないうちに美嘉とヒロはセックスするんですね。矢継ぎ早に誘拐、レイプ、暴力、不登校と続いていきます。ヒロの元カノ・咲(臼田あさ美)からの嫌がらせ、はさまれるポエム、妊娠(図書室でのセックスによる。コラッ!)、流産。早い早い! 早いよ! ちょっと落ち着いて! そして喫煙と飲酒(原作ではシンナーと乱交だったようです。それでも未成年の喫煙と飲酒は問題だと思ったため、映倫区分を確認しようとしたのですが、審査作品リストは2009年からしかなくて、不明です。Netflixでは16+みたい)、ヒロによる浮気からの別れ、新たな男性・優(小出恵介)との恋愛、両親の離婚危機と続いていきます。このへんでちょっと停滞する感じありますね。優が噛ませ犬なのはすぐわかるし……。私だったら優のほうがずっと良いなあと思いつつ……。優は名前のとおり、優しい人ですよ……。

物語の停滞をぶっ壊すのが、ヒロのガン(余命3か月)です。ですが、またそこで停滞しちゃうんですよね。展開が早すぎると思った前半の方が面白くはありました。また、ラストが原作と違うようです。いや、違わないのかな? 美嘉が電車の中で持っていた手袋と折り鶴ではない謎の鳥の折り紙でそれを表していますか?

今井夏木は今作が初の監督作品のようです。絵作りはそんなに変じゃないというか、カメラの切り返しやアップとロングのバランス、視線誘導の仕方など手慣れているかんじがあったため、エンドロールで注目していたところ、撮影は山本英夫だったんですね。ベテランじゃないですか。テレビドラマ的ではあるものの、鑑賞しているときにノイズにならない撮り方をするんだなと思いました。絵が安定しているって大事なんですね。

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