画家と泥棒/男女の友情について、それが成立するかどうか聞いてくるような相手とは、成立しない

ドキュメンタリー、モキュメンタリー
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画家と泥棒

The Painter and the Thief/Kunstneren og tyven/監督:ベンジャミン・リー/2020年/ノルウェー

Amazon Prime Videoで鑑賞。存在は知っていたのですが後回しにしていて、今日、Twitterで勧められたので観てみました。

あらすじ:絵が盗まれた。

ネタバレしています。 本文中、ネタバレの前には注意書きをしています。

ノルウェーで2015年に起きた、絵画盗難事件のドキュメンタリーです。絵を盗まれた画家が、犯人を絵のモデルにするというお話。

泥棒は、描きかけの絵を見て泣き出すんですよね。この人ラリってるのかな? 盗んだときもラリってたって言っていたし。この映画をいつから撮っていたかはわからないですが、ある程度2人の距離が縮まってからだと思うんですよね(※)。かなり親密なようにみえます。そうこうしているうち、泥棒は自動車事故で入院してしまい……。

画家にも泥棒にもそれぞれ恋人がいるんですね。泥棒の恋人は特になにも言っていなかったですが、画家の恋人は、泥棒なんかと関わるんじゃないと言う。まあ普通に考えたらそうです。刑務所に入る人間とわざわざ関わる必要はない。画家と泥棒がロマンティックな関係にあったのかと言われれば、そうでもないんです。本当に、親しい友人というかんじ。「男女の友情について、それが成立するかどうか聞いてくるような相手とは、成立しない」と言っていた人がいました。私もそう思うな〜。

画家の描く絵が全体的に暗く、テーマが重い感じがするんです。泥棒はあるとき画家に、「君はそうやって他人の不幸を見つけて、よし、アトリエに持っていこう、って考えてるのか?」というふうに言います。これは鋭く、画家にとってキツい批判だなと思いますね。モデルのいない画風ならともかく、この画家の場合はモデルがいるので。ギャラリーにも、作風のせいで展示を断られたりしているわけ。それもあってか、画家はいつもお金がないみたい。

※観終わってから公式サイト(画家と泥棒 – MadeGood)を見たら、監督の解説で「撮影を始めたのは、バルボラとカール・ベルティルが会うようになってから4回目くらいの頃だ。」って書いてありました。まず4回会うっていうのが不思議。だって被害者と加害者なのに!

※以下ネタバレをしています。

画家が、横たわる泥棒とその恋人の写真を撮って、描き始めた絵があったんです。制作風景も映されていたのですが、泥棒の方だけ描き込んであって、恋人の方は描かれていなかったんですね。変わった描き方をする画家なのかな、まあそういう人もいるだろうなって思っていたら……完成した絵には恋人は描かれておらず。代わりに画家自身が描かれていたの。なんというか、本当にとても特別な関係になってしまったんだなあって思いました。「なってしまった」って、なんかネガティブな言い方だけど。なんていうのか、こう、なるようになった、というか。何事も、なるようにしかならないんですけどね。

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