ルクス・エテルナ 永遠の光/アロスタティック負荷と撮影現場

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ルクス・エテルナ 永遠の光

Lux Æterna/監督:ギャスパー・ノエ/2019年/フランス

アマゾンプライムビデオで鑑賞。レンタル400円でした。勧められたので観ました。

あらすじ:映画を撮っています。

ネタバレしています。注意書きはありません。

映画のセットで女性がふたり話しています。魔女狩りの映画を撮っているところみたい。他の人たちもやってきて、それぞれに好き勝手なことを言い始めます。撮影が始まりますが、まだ現場は混乱しているようす。セットは背景にスクリーンがかかっていて、風景が投影されています。スムーズに進まない撮影に、出演者をふくむ関係者たちみんな、どんどんどんどんイライラしていって……。

ギャスパー・ノエ監督作は『エンター・ザ・ボイド』(2010年)と『CLIMAX/クライマックス』(2018年)しか観ておらず、劇場に足を運んだこともありません。『エンター・ザ・ボイド』を観たとき、この監督は私に合わないなと思ってずっと避けていたんですね。それが一昨年かな、友達から『CLIMAX/クライマックス』を勧められ観たところ、めちゃくちゃ笑ってしまって、面白い映画撮る人なんだ! ってなりました。なんというか、ギャスパー・ノエの、「生きるものは全部おれがこの手でぶち壊してやる」っていう欲求みたいなものを感じたのかな〜。わかんないけど。とにかく、救いのないところまで含めて『CLIMAX/クライマックス』は好きですね。

で、同じ友人に『ルクス・エテルナ 永遠の光』を勧められたので観ました。記事タイトルに使った「アロスタティック負荷」というのは以下。最近知ったので使ってみたかったの。

ストレスが強かったり長引くと、ストレス反応を繰り返すだけでなく、反応がストレス解消後にも長引いたり、特定の反応が不十分になって新たなストレス反応を引き起こすなど、体に負荷がかかる。この負荷をアロスタティック負荷(allostatic load) という。

早期児童教育介入と効果発現メカニズム(伊藤 成朗) – アジア経済研究所

ちょっと違うんだけど、ギャスパー・ノエの作品ってなんとなくこれだな、と思って。今作は、観ているとなんだかこっちもイライラしてくるから、イライラしながら映画観るのアホらしいと思って意識を変えようとしたの。イライラするのは監督の思惑通りなんじゃないかなって思ったり。ギャスパー・ノエは観客に嫌がらせしたいのかなあ。ストレスがたまる作りだよね。それは映像そのものもそうだし、場にいる人がみんな怒鳴ったり苛立ったりしていることもそう。シャルロット・ゲンスブールの娘のことが心配になるけど、彼女は現場から離れられないから観ていてやきもきしちゃう。

極めつけに、映像が投影されていた背景がバグって、赤と緑と青の光が点滅するんですね。これね劇場で観ていたら目を瞑ったと思う。映っているものが残酷だとかそういうのじゃなくて、シンプルに観ていられないんです。光がチカチカチカチカして目がおかしくなるし、耳障りな音も聴こえてきて拷問みたいでしたね。大変申し訳ないけど、ラスト10分はちょくちょく画面から目をそらしていました。そうじゃないとふらふらしそうで……。これは人を選ぶとは思いますが(てんかん発作をもつ人は観られないし)、なかなかに面白い映画体験でおすすめです。

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