シック・オブ・マイセルフ/私を見て、ねえ、私を見てよ!

ホラー
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シック・オブ・マイセルフ

SYK PIKE/Sick of Myself/監督:クリストファー・ボルグリ/2022年/ノルウェー・スウェーデン・デンマーク・フランス合作

マスコミ試写で鑑賞。2023年10月13日、新宿武蔵野館、渋谷ホワイトシネクイントほかロードショー。

あらすじ:承認欲求がやばい。

ネタバレはありません。

ノルウェー、オスロに住むカップル、シグネ(クリスティン・クヤトゥ・ソープ)とトーマス(エイリック・セザー)。シグネは承認欲求の強い女性で、みんなで食事をしているとき、目立つために「重いナッツアレルギーがある」と嘘をついたり、偶然人助けをしたことを2週間経っても事細かに言いふらしたりする。トーマスは芸術家で、個展を開いたら大成功をおさめた。そんなトーマスに嫉妬したシグネは、違法薬物に手を出してしまい……。

シグネは、すごく簡単に言うとミュンヒハウゼン症候群である。そういえばこの映画の監督であるクリストファー・ボルグリは、A24製作、アリ・アスタープロデュースでニコラス・ケイジ主演の次回作『DREAM SCENARIO』が決まっているんだった。アリ・アスターの短編に『Munchausen』という作品がある。『Munchausen』の場合は代理ミュンヒハウゼン症候群だが、問題の根っこは同じところにある。

シグネは違法薬物のせいで外見が他人と異なってしまう。それを期待して飲んだものなので、同情の余地はまったくない。薬の影響下なのか、シグネがもともと妄想癖がある人なのかは判然としないが、シグネはたびたび幻覚のようなものを見ることになる。こういった描写があるため、シグネに起きた出来事のどこからどこまでが妄想なのかわからなかったりするが、まあだいたい、自分に都合のいいことや、本当に望んでいないようなことは妄想なのだろう。シグネがどうなるか、というのはこの作品のキモなので伏せるが、程度の差こそあれ、シグネのような人は多いのではないか。

また自分の話をするが、私もたいがい自己顕示欲や承認欲求が強い方で(でなければSNSに自撮りを載せたりしない)、最近そのことについて悩んでいる。目立つためにやっていたことが、他人から見ると気持ち悪いのだとやっと気づいたからだ。自分の身体を傷つけることもそうなのだろう。さすがに今はやっていないが……。シグネのことを、「一般的な人から見たらまったく理解の及ばない病気の人間だ」と断じるのは簡単だし、私だってそうしたい。けれども、身に覚えがあるぶん、他人事として受け止めるのが難しかった。おすすめです。

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