マジカル・ガール/後悔なんて、あるわけない

コメディ
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マジカル・ガール

Magical Girl/監督:カルロス・ベルムト/2014年/スペイン

Amazon Prime Videoで鑑賞。カルロス・ベルムト監督の新作『マンティコア 怪物』を観るので、前から気になっていたこちらの作品も観ようと思ってのことです。

あらすじ:魔法少女の衣装がほしい。

ネタバレしています。注意書きはありません。

白血病で余命わずかな12歳の少女アリシアは、日本のアニメ『魔法少女ユキコ』の衣装を着るのが夢でした。失業中でお金のない父ルイスは、90万円もする衣装をアリシアに買ってあげるため、東奔西走するのですが……。


ルイスは、精神科医である夫に支配されているように見える女性バルバラとひょんなことから知り合います。上に貼ったポスターはIMP Awards – All the Latest Movie Postersに唯一あった『マジカル・ガール』のものです。この人がバルバラですね。この映画はアリシアの物語だと思っていたし、日本のポスターにはアリシアが魔法少女の衣装を着ている写真が使われているので(左上のほうにバルバラもいるけど)、そういう話? とちょっとびっくりしました。

ルイスはバルバラを脅迫し、今週中に90万円を用意しろと命令します。バルバラは日常生活で夫にも命令されていて、あまり彼女自身の意思のようなものを感じません。モラハラの精神科医って最悪だと思うのです。バルバラは夫が命ずるままに投薬されていますから。それは治療のためであるかもしれませんが、夫の都合で睡眠薬を投薬されているシーンを観て、これは暴力の一種だなと思いました。

明確には描かれませんが、バルバラは売春をして90万円を稼ぎます。彼女は身体中に傷があり、それはおそらく自傷によるものだと思われます。自傷癖のある女性が売春をするというのは(私の感覚では)それほど奇妙なことではありません。自らを傷つけるものが、刃物か男性かの違いだけだと思います。自ら望んでした行為といえども、深い傷を負うことにかわりはありません。なお、バルバラのために一応書きますが、彼女は挿入なしでという条件で売春をしています。ただ、挿入なし、1日限りの行為で90万円もらえるなんて、一体バルバラは何をした/されたんでしょうね……。ゾッとします。

そんなこんなでルイスは無事、大金を手に入れ、アリシアに『魔法少女ユキコ』の衣装をプレゼントするのですが、アリシアはそれほど喜んでいるように見えませんでした。ルイスにもそう見えたようで、なんだか残念そうな顔をするんですね。何かが足りなくてアリシアがあんまり喜ばなかったのか、と気づいたのでしょう。ルイスはアリシアの部屋に貼ってある『魔法少女ユキコ』のポスターを見、魔法のステッキが足りないことに気づき、頭を抱えてしまいます。私には経験したことはありませんが、例えば、祖父や祖母がゲーム好きな孫のために良かれと思って任天堂スイッチをプレゼントしたら、孫は本当はPS5が欲しかった、みたいなかんじなのかな。

ルイスはまたバルバラを脅迫しますが、それは悲劇の始まりでした。いや、アリシアが衣装を望んだときから悲劇は始まっていたのかもしれません。とにかく鑑賞後の気分が悪く(映画が悪いという意味ではないです)、どよーっとした気持ちになりますね。劇映画を観てどよーっとするのを好むのは、現実での自分があまり問題なく暮らせている証拠かと思います。

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