マンティコア 怪物/その心に秘めたもの

ラブロマンス
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マンティコア 怪物

Manticora/監督:カルロス・ベルムト/2022年/スペイン

マスコミ試写で鑑賞。2024年4月19日(金)シネマート新宿、渋谷シネクイントほか全国順次公開。
ホラー映画かな? と思って観ていたら、ラブロマンスでした。

あらすじ:少年を火事から助け出す。

ネタバレはありません。

ゲームのモンスターデザインを仕事としているフリアンは、隣の家の火事から少年を助け出します。ところが、その出来事がきっかけになり、彼はパニック障害を患うことになってしまうのでした。

ある日、フリアンは同僚の誕生日パーティーでディアナという女性と知り合います。だんだんと彼女に惹かれていくフリアンでしたが、彼には人に言えない秘密がありました。

カルロス・ベルムト監督の『シークレット・ヴォイス』(2018年)を観ていないため断言はできないのですが、この方は日本のポップカルチャーが好きなんでしょうか? 『マジカル・ガール』もそうだったし、今作でも、映像は映りませんが主人公がパソコンで日本語音声のなにか(ニュースかも)を見ているシーンがあるし、伊藤潤二の名前が出てきたりするので。

全体の印象としては、『マジカル・ガール』よりもゆっくりと時間が過ぎていくような気持ちになりました。テンポが悪いわけではないですが、物事のひとつひとつを丁寧に、また、揺らぐ感情の細やかさを少しずつ描き出していくといった感じです。この丁寧さは、人によっては眠気を誘うものになるのかもしれません。が、クライマックスで明かされる主人公の「欲望」について、より衝撃的な方法で描くためには、たっぷり時間が必要なのだなということがわかります。

マジカル・ガール』でバルバラが行う売春のように(もう「売春」って決めつけていますけど)、「欲望」の内容ははっきりと描かれないんですね。正解は絶対あるけれども、そこに至るまでの道筋や登場人物たちの行動によって、あのとき何が行われたのか、その意味はなんだったのか、を観客に考えさせる、解釈を委ねてくるんです。ただ、これ以上描きすぎても無粋だし、これ以下の描き方だったら観客が「気付けない」ので、ちょうどいいバランスだな、と思いました。そしてラストはまたどよーっとする感じで、私、この監督好きですねきっと。『シークレット・ヴォイス』観ようと思ったら、私が加入していない配信サービスにしかなかったです……。

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