ワース 命の値段/人はそんなに簡単じゃない

人間ドラマ
この記事は約3分で読めます。

ワース 命の値段

Worth/監督:サラ・コランジェロ/2019年/アメリカ

マスコミ試写で鑑賞。公開は2023年2月23日です。実話を元にした物語。本文中に入れられなかったのでここに書きますが、スタンリー・トゥッチが出演しています。

あらすじ:死者に値段をつけます。

ネタバレはありません。

2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ。その犠牲者と遺族のため、アメリカ政府は被害者保証基金プログラムを立ち上げることに。基金の特別管理人になった弁護士・ケン・ファインバーグ(マイケル・キートン)は、さっそく仕事に取り掛かるのですが……。

ちょうど今朝、生野区聴覚障害女児死亡事故のニュースがテレビでやっていたので少しだけ見たんですよ。

大阪・生野区で聴覚に障害のある女の子が交通事故に巻き込まれて亡くなり遺族が賠償を求めている民事裁判で、事故の当事者側が、女の子が将来働いて得られた収入について労働者全体の平均賃金のおよそ6割にとどまる聴覚障害者の平均賃金で算出すべきだと主張していることに対して、女の子の父親が法廷で、「差別だ。公平な判断をお願いしたい」と訴えました。
聴覚障害の女児死亡事故訴訟 “逸失利益で差別”と父親が訴え|NHK 関西のニュース

ファインバーグの立場は、ざっくりいうと、この「女の子が将来働いて得られた収入について労働者全体の平均賃金のおよそ6割にとどまる聴覚障害者の平均賃金で算出すべき」という主張をしている側なんですよね。最初は、「苦労するかもしれないが、いつもどおりにこなしていけば問題はない」というふうに受け止めていたファインバーグですが、いざ始めてみると、これは大変な仕事を請け負ってしまったなと気づきます。給料から算出した額では被害者や遺族は納得しないし、彼が思っていたより人びとは感情的です。

被害者遺族はしんどいとは思うんですよ。だからってファインバーグを敵とみなさなくてもよいし、「お前らみたいな人間のせいで弟が死んだ」とか言わなくていいのに。彼らの気持ちはなんとなくわかります。声のとどかない真の敵より、身近に敵を作ったほうが気が楽になるんだろうと思うんです。ファインバーグは、そこまで織り込み済みで動くべきだと思うなら、そうなのでしょう。

なんでこんなふうに言うかというと、もともとファインバーグは被害者遺族を守るために特別管理人になり、また、無償でこの仕事を請け負っているからです。それを知らない人たちが彼を嫌い、詐欺師だ、とかすぐにお金の話をする、とか言っているわけです。被害者たちひとりひとりに人生があり事情があり物語があったように、ファインバーグにも人生があるのに。

と、比較的ファインバーグ側の目線で観ていました。この話は実話がもとになっているので、最終的にどうなったのかは実際のできごとどおりなんですが、終わり方これでいいのかな? とは思いました。悪いとかじゃなくて、よく出来すぎているようにも思うんです。でも実話だからな〜。

コメント

タイトルとURLをコピーしました